“いつか”が来るまで

 

この前久しぶりに日が昇っている時間にリビングの扉を開けたのを見たよ。

 

 

でも、ママが帰って来る時間になったらいつも自分の部屋に戻っていくのも知ってるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はもう紅茶に砂糖を入れなくても飲めるようになったんだよ。前みたいにたくさん砂糖を入れた甘すぎる紅茶じゃなくてもいいんだよ。

 

 

だから「砂糖入れるよね?」って聞かなくていいよ。

 

 

 

 

だけど、まだミルクは入れないと飲めないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

パパが知らない間にコーヒーも飲めるようになったんだよ。

 

パパが知らない間に料理もできるようになったんだよ。

 

パパが知らない間にラムは5分以上待てができるようになったんだよ。

 

 

 

 

 

パパが知らない間にママは消えそうになっちゃったよ。

 

パパしか助けられないって自分でもわかってるくせに、他の人に当たらないでね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はこの家族のカタチのままでいいって思っていたのに、ときどき家族みんなでご飯を食べに行ってる友達が羨ましいんだ。

 

 

あともう一回ぐらいは、家族でお寿司食べに行きたかったな。

 

 

 

 

 

ご飯のお皿を並べるのも、3人分のお皿を並べるのが癖になっちゃったんだよ。

 

時には2人分になることもあるけど、絶対に4人分にはならない事をもう知ってる。

 

 

 

 

ママに普通の家族じゃなくてごめんね。って言われたときはどう返すのが正解だったの?私はこの家族しか知らないから、これが私にとっての普通なんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育祭の時も文化祭の時も合唱コンクールの時も、ママと友達の両親がいるところじゃなくて端っこの方から寂しそうに笑って手を振って、「仕事に行く前に寄ったんだ。」って言っているのを見るたびに少し泣きそうになったよ。気づいていたかわからないけど。いつからそんなに寂しそうに微笑むようになったの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今よりも太っていたけど、ママに冗談を言って大きな口を開けて笑っているパパのほうが好きだよ。

 

 

そんな笑顔を最後に見たのも、パパに最後に怒られたのももういつなのか思い出せないな。

 

 

 

 

 

小学校の頃は中学生になったらみんなお父さんに嫌なことを言って反抗して、喧嘩するものだと思っていたけどそんなことなかったね。

 

パパは私の父親だけど父親じゃないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時が経つに連れてパパもママもまだ大人になりきれてないのかなあと思うようになってきた。私達が生まれてから両親の関係が悪くなったのは知ってるけど、だからって生まれなきゃ良かったって思えるほど綺麗な心も持っていない。

 

 

 

 

 

ママ、こないだ3人でご飯を食べてるときにまだ13歳なのに達観しすぎじゃない?って言っていたけど私はママにもう少し達観して欲しいよ。

 

 

私がもっと純粋だったら、いろんなことを悟らないで子供らしく居られたら良かったのかな。

 

 

何かをするときや決める時はいつも二人の板挟みになるのは嫌だよ。どっちかの意見に従ったら、どっちかが怒って拗ねるのも目に見えているから。

 

もう少し大人になって。

 

 

 

 

学校で尊敬してる人を聞かれたら「両親です」って答えていたのに、ココロの中ではあの二人みたいにはなりたくないって思っていたんだ。悪い子だね 笑

 

 

 

なにかに反抗してみたくて社会に反抗してみたりもしたんだ。でも私は思ったより小さかった。

 

 

 

 

 

 

正直私はパパとママがとっても憎い。違う親の元に生まれてたらって何回思ったかわからない。だけどそれよりもまだ学生で絶対に親の影響を受けなきゃいけなくて、親に反抗する術を知らない自分の方が憎いし悔しい。

 

 

 

この世界で、両親がいてこんな環境の中で生活できることが幸せなことはもちろんわかっているけれど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつか

 

 

 

素直に反抗できるようになって、両親のことをちゃんと愛せて、感謝できるようになりたい。

 

ほんとうは心から両親を嫌いになんてなれないんだってわかっているから。

 

 

 

だから、前みたいに戻って、とは言わないから

今のままでもいいから

 

 

 

 

 

 

 

どうかそのいつかが来るまで崩れないで待っていて